運送会社はどこ(何路)を行く?

陸運

陸上(地上・地下)を運送するので略して陸運と呼ばれます。

陸運は海運や空運に比べて設備投資が少なく運送会社も新規参入しやすい部類に なると思われますが、それでもトラックを何台も用意するにはそれなりの覚悟を持って 頑張るつもりでないといけないでしょう。 空や海を輸送するほど大掛かりではなく、近距離ならバイクや自転車でも充分に業務を 遂行できる分野ではありますが、扱う貨物によってはバイクでは無理だったりもします。 運送会社といってまず思いつくのは陸運、それもトラックなど大型の車両を使った 貨物自動車事業者になります。 一般道路を走行して貨物を目的地まで届けることが主な業務になりますが、長距離の 輸送で高速道路を走行するほうが効率が良いと判断される場合には通行料を支払って、 高速で目的地まで辿りつくケースもあります。 逆に近距離だったり渋滞しがちな都心部では小回りのきくバイクで配達することもあり、 なんでもかんでもトラックを使用するわけではありません。 配送先や貨物によって使われる車両が変化し、ガソリンや灯油、軽油なんかだと専用 のローリーでガソリンスタンドに向かうことになりますので、石油関連の運送だけを 専門に請負う会社も珍しくはありません。 同じ運送会社でも食器棚や冷蔵庫を積み込む車両とガソリンを積み込む車両では全くの 別物になるので、「近所にトラックをたくさん所有している会社があるけどきっと 運送会社なんだろう、冬に備えて灯油を1キロリットルほど配達してもらいたいけど お願いできるかしら」と電話する前に、駐車場にタンクローリーが駐車しているかを 目視でいいから確認したほうがよいでしょう。 もしなければ灯油を入れたポリタンクを数十個トラックの荷台に載せて運ぶことになり、 それでも問題なければいいのですがひょっとしたら近所のガソリンスタンドに依頼した 方がスムーズだったり、自分でやれそうなことではないかとも思えるのです。 そうした運ぶ内容についてですが、最も大きな違いが顕れるのは貨物ではなく旅客を 輸送するバスやタクシー事業者になります。 タクシーなら免許証を持っている人がいつも乗っている自家用車に性能も姿形も 似ているので、車両に対して特別な感情を抱くこともないでしょうが商売として タクシーを運転するのには別の免許も必要になります。 なので「運送業者ってイメージじゃなくただのドライバーだよね、ボクもやってみよう かな。運転は好きだしカーナビの使い方も知っているし、このへんの道路には詳しい方 だからタクシードライバーに向いてると思うんだよ」と発想するのは構いませんが、 求人に応募する前に普通自動車第二種免許を自分が取得しているかどうか、胸に手を 当てて思い出してみるべきかもしれません。 早い人だと自動車免許は教習所で成人前に取得したでしょうが、それは二種ではなく 普通自動車第一種免許のはずです。 ただの運転手にみえるかもしれませんが、タクシードライバーになるためにはもう1つ 上のランクの免許が必要になるのです。 「タクシーの運転なら今の自分の愛車で充分だ、もっと大きな車に乗りたいな。そうだ バスの運転手になろう!」と発想するドライバーにも同じことが言えます。 バスの運転手になるにはやはり大型自動車第二種免許という上級者向けの資格が必要で、 サンデードライバーやペーパードライバーはおろか、毎日通勤でマイカーの運転をする カーマニアでもそれだけではバスの運転手にはなれないのです。 おおがかりな陸運には鉄道を使った輸送もあります。 レール(軌道)を敷いてその上を鉄道車両が走行するため事業者には豊富な資金が 求められますし、安全運転のためには定期的に保守点検もしなければならず、「起業 したいな、鉄道会社でもやってみるか」と簡単に始めることはできません。 ですが渋滞や多少の悪天候では到着予定時間が狂うこともそうありませんし、大量の 貨物を安価で輸送可能な点はとても頼りになります。