運送会社はどこ(何路)を行く?

海運

空運と並び運送会社の目玉なのが海上をスイスイ進む海運です。

海上を運送する海運は主に船を使いますので、大量の積載物がある場合、他には類を みないほど相性の良さを発揮します。 最大積載量はトラックやタンクローリー、バスなんかとは比べ物にならず、そもそも トラックならそのまま何台でも積み込むことが可能ですので相手になりません。 一度に大量に輸送できるのでコストも低くなり、速度では他に劣るけどそれ以外の点を 見るとかなり優秀なので運送会社としては喉から手が出る分野でしょう。 1往復するのに必要な経費は他の輸送方法と同レベルだとしても運べる量がその何倍 にもなるので、一度にたくさん運べる海運は他の運送方法よりも輸送単価は格段に 安く魅力的なものになるわけです。 そして大容量な貨物も大量に運べるので、液化天然ガスや原油などの液体を遠くまで 運送するのにも適しています。 しかし海上を渡るためスピードは遅く、ヘリコプターや旅客機に劣るどころか普通の トラックにすら敵わないでしょう。 なので陸路でそれほどの距離がない、貨物トラックでも充分に積み込める量の貨物なら あえて海路で運送する必要はありませんし、急ぎの荷物ならなおさらです。 いくら低コストって評判を聞くからとなんでもかんでも船舶で海運するのは間違いで、 積荷が少なければそれだけコンテナあたりの輸送コストは高くなってしまいます。 また荷物的にはフェリーを使っての輸送が良さそうに思えても、港の位置によっては バッドアイデアになることも考えられます。 海上輸送するためには貨物を積んだり降ろしたりすることが可能な港の協力が不可欠で、 それ以外の場所では積み下ろしが出来ないことも忘れてはいけないのです。 当たり前のことですが山の頂上まで多くの荷物を運びたい時に海運という手段は 使えませんし、北海道の真ん中までフェリーで自動車を輸送することも不可能です。 航路がなければ進めないので、最低条件として海沿いあるいは運河沿いの地点でしか 荷物の積み下ろしはできないでしょう。 しかもそれだけでなくたいていの大きな貨物は整備された港でしか扱えませんので、 「ここで降ろして欲しいな」という希望があっても最寄の港へ到着するまでは我慢、 適当な場所で降ろすわけにはいかないのです。 なので運送したい目的地までの距離よりもどこの港で積んでどこの港で降ろすか、 そこに注目しなければならず、「陸路では100キロの距離だけど海路だと250キロ の移動になるのか、これはどうしたものか」と思案に暮れることもありそうです。 港間は低コストで輸送できますがそこから最終目的地まではトラックなどを使っての 陸路での運送になりますし、場所を選ぶのも海運の特徴になります。 でもそれさえクリアしていれば大容量の貨物をかなりの低コストで輸送可能なので、 毎年原油などをたくさん輸入している日本では重要な役割を持っています。 国外への輸出入が盛んな日本ですが他国と陸続きになっていないため、海運と空運 無しでは有益な貿易が成り立たないのです。 空輸よりも時間はかかりますが到着まで何年も要するほどではありませんし、生肉や 生魚のように腐りにくい物でなければのんびりと大海原を旅するように海路で貨物を 運搬するのが、経済的で荷主も大喜びでしょう。 海路で旅客を運搬することもよくあり、日本国内でもフェリーの遊覧なんかなら観光地 なら珍しくはありませんので乗船した過去を持つ人もいるでしょう。 湖や湾内、近海の穏やかな水面を巡回する位ならはしゃいでいる間に終わってしまう でしょうが、日本から上海までのように長距離を初めて海路で移動する場合には少しだけ 注意してもらいたいことがあります。 注意してもどうにかなる問題ではないかもしれませんが遠洋に出れば船は揺れます。 どういうことかというと船酔いでフラフラになる人もいるので、体の弱い人、乗り物が 苦手な人は覚悟をしておきましょう。 幼少の頃から親の手伝いで船に乗って漁をしていた、クルーザーに憧れて中古艇を購入 した、船舶が専門の運送会社に勤務しており何度も船旅をした経験がある、なんて人なら 心配ないでしょうが、バスや電車、長距離トラックとは一味違う揺れですので初めての 船旅をする人はエチケット袋を多めに持っていきましょう。