運送会社はどこ(何路)を行く?

空運

長距離の輸送でもとにかく早いのが飛行機を使った空運です。

空中運送は航空機やヘリコプターを使うので輸送コストは陸運よりもかかりますが、 長距離でも迅速なスピートが売りになっています。 発着陸の場所も限られている特殊な輸送機になりますが、高速移動が出来る貨物機 としてはこれに勝るものはないでしょう。 長距離ほどその恩恵は大きくなり、国外へと運送する場合はもうひとつの手段として 考えられる海運と比較しても3倍以上の違いが発生します。 飛行機に乗った人生経験のある人はそんなに多くないでしょうし、何度か搭乗した ことがあっても旅客機の速度がどれほどのものかを知っている人はいなさそうですし、 簡単に説明しますがボーイング747の速度はマッハ0.9ほどです。 通常運行で時速800キロは軽く出せますのでこれに勝つのは至難の業でしょう。 高速道路を走るトラックでは頑張っても時速100キロ程度ですので8倍もの差が あることになりますし、長時間運転することになればドライバーも休憩したくなり サービスエリアでガムを買ったりトイレに行ったり豚汁定食を食べたりと、それだけ ロスタイムも生じるので実質8倍以上の時間がかかることになりそうです。 運ぶものが人の場合はさらに旅客の都合も考えなければならず、空輸で1時間の移動 なら一気に目的地までノンストップで到着を狙えますが、同じ距離を深夜バスで走行 するとしたら何度もトイレ休憩を設けなければお客さんの不満と膀胱は破裂してしまい、 車内は地獄のような光景と臭いでもう大変でしょう。 人間や生き物を運ぶ場合はその間快適に過ごせるような環境を用意せねばならず、 長時間になればなるほどその重要性は増していきます。 なので人間を輸送する場合は所要時間を短縮できる乗り物が重宝され、空輸という手段 が多くの人に喜ばれ、支持されているのでしょう。 ジャンボ機の時速800キロも凄い数字ですが、なんと過去にはコンコルドがそれ以上 のスピードで空を飛び回っていた時代もありました。 ボーイング747よりはるかに高速、時速2,000キロの旅客機として怪鳥の名に 恥じない大活躍をしていたのです。 ですが2000年に死者を出す墜落事故を起こしてからは安全面を危惧する声もあがり、 速度を優先してコストも高かったコンコルドは運行中止になりました。 今では空運業界も運行速度を優先するのではなく安全性や快適さを重要視する時代で、 バランスの良いボーイングが需要が多いようです。 それでも全然遅いわけでなく、トラックなど貨物車の出せる速度なんかは離陸前の 滑走路の時点ですでに超えてしまいます。 コスト面でもひたすらに速度を求めすぎると、ただでさえ輸送費が高いといわれている 空輸ですがそれ以上に輪をかけてしまいますので、今くらいの水準を保っていれば 充分であると個人的には思います。 現状でも空輸を手がける運送会社を設立して飛行機を飛ばすには莫大な資本金が必要 になるようですし、トラックを購入する感覚でコンコルドを買うわけにはいきません。 また一般道をトレーラーが走行する分には無料ですが、旅客機が空港を利用するには 空港使用料を支払わなければなりません。 遠距離でも短時間で輸送できる空輸はそれだけお金もかかるのです。 必然的に短距離の運送ならば空輸のメリットも薄れ、コストの低い車両を使ったほうが 合理的な手段になるでしょう。 どうしても時間を優先させたい、電車やバスで10時間かけるよりも飛行機で1時間 後に到着できるのなら多少割高でもそちらのほうがいい、というのでなければ、 あるいは道路が続いてない国外や離島への移動でないのならば、空輸以外の選択肢も 考えて選ぶのがいいかもしれません。 最近では自動車でも行ける距離だけどヘリコプターを使って移動する要人もいますが、 コストを考えるとまだまだ一般人には高嶺の花の手段でしょう。 運送会社としても簡単に手を出せない分野かもしれません。